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Jin's Diary&Essey

  #939
承前・自己研磨
Date: 2017/10/10(Tue) 
 生涯現役社会…とやら、男は80.98歳が平均寿命だなどと云われると若干複雑な思いにとらわれる。

 先月の宇都宮での男声合唱フェスティバルの「合同演奏」の稽古に当たって 「音楽を通して "自分磨き " をなさる皆さん」と呼び掛けた。殆どのかたは " うんうん " とうなずかれたが、中にはキョトンとするかたも居られ、これは機会見て " 自己研磨 " の話をしなくては、と思っているうちに10日が過ぎた。

 家ではしょっちゅう包丁を研ぐ、その都度上記の「自己研磨」を思う。「人間も研がないで放っておくと鈍って来る…」と恩師は云われた。学生の頃はピンと来なかったのだが、がむしゃらに働くうちに40を過ぎ、50を過ぎ、還暦、古稀…と歳を重ねるに従って「あぁ鈍って来たなぁ、研がなくては…」というようなことを痛感するようになった。

 若い頃読んだ本を引っ張り出したり、絵や彫刻を観に行ったり、芝居を見たり…と色々するけれども刀鍛冶や研ぎ師のように没頭する事も叶わず " あせり " のような境地に引き込まれそうになる。暫く前にも Bach と Mozart の名曲を演奏するにあたって、まるで自分が " 丸裸 " にされてオーケストラの前に立たされたような焦りと困惑の渦に放り込まれた ( 演奏は無事に済んだ ) 。

 60を過ぎて勤務から解放され、有り余る体力と若干の経済力とをこれからは何に使おうか、と考える男性は決して少なくない、・・・好きな絵を描く、随筆や小説を執筆する、野や山を逍遙する、はたまた豪華な装置でオーディオにのめり込む、等々限りなく趣味の世界は広がる。

 その中で音楽も又「自分磨き」のために西欧でも昔から多くの人にたしまれて来た。少々手に余るような難・佳曲に取り組み、楽譜の行間を探り読み解いて行く間にいつの間にか己の心の中が洗い清められ更に鈍った感性を研ぎ直してくれると信じている。

 但し、そうなるためにはそれに相応しい「善い音楽」でなければならない。ほろ酔い気分のカラオケ程度では砥石も大した事は無い。いい音楽を選び、適確に掘り下げて「心の逍遥」を行う為には経験豊かな案内人 ( conductor ) が不可欠 !

 栃木県宇都宮市にはその「経験豊かな案内人」が何人も居る。その成果が先日のフェスティバルに結実していたのであった。