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Jin's Diary&Essey

  #931
育つ種、育たぬ種
Date: 2017/09/01(Fri) 
 Eテレ見ていると「家庭菜園」の番組が有って結構楽しい ! 中でも「先生役」のふとした発言がなかなか役立つ。
  生徒「せっかく蒔いたのに芽の出るものと出ないものが有る」
  先生「種は普通は芽吹くものだが、中には不良品が有って芽の出ないものや育たないものもたまにはある」
 「生徒」へえぇ ! ?   
世の中の真理を垣間見たようで思わず笑ってしまった。と云うのもこの40数年丹精込めて育てて来た指揮者の種、始めの内は中々素直で「これはこの地方の宝に…」と淡い期待も抱いていたのだが、5年経ち10年経ち、20年位になった時、突然その伸びが緩慢となりやがて30年を過ぎた頃からピタツと成長を止め枯れ木同然になつてしまった話をここに紹介する。

 その種は某工業大学時代建築学を学ぶ傍らグリークラブの主要メンバーとして活躍していたというので芸術にも大いに理解が有る事だろう、と思い西日本で優秀な市民コーラスの「生え抜き」の指導者として白羽の矢を立てた。役所の吏員として出身地で働き始めた彼は思ったとおり「相応しい人物」に見えた。しかしなぜか職場に居つかない癖が有るらしく少し務めたあと辞めて親類の経営する小さい会社の工場長に、と聞いたときは「鶏口となるも牛後となるなかれ」の人生観だろうくらいに思っていた。ところがここも定着せずその後も転々と職を変え遂にはナント地元の町議会議員になった ( 議員数10人ばかりの日本一ちっぽけな町らしい ) 。何度か再選され、その間議長なども務めるうち彼の人格はどんどん変わって行った。

 僕が年数回、出前レッスンに行ってもかれは来たり来なかったり、練習後の反省を兼ねた懇親会も頑に拒み、次第に離れて行った。40年前には色々と質問したり東京に職場の出張で来た時には「ついでに」僕のところにも立ち寄って勉強しようとしていた彼のあまりの変わりざまに唖然とした。

 2年前突然メールが来た「こんど全国区の指揮者をチャーターしたのでよろしく ! ! 」いかにも「公人」らしい台詞 !

 「永いあいだのご指導有り難う ! 、お前が居なくてもやっていけるようになったからそろそろ辞めてください」と礼を尽くして云う事などとんと知らないらしく「次が決まったよ ! 」で済ませるつもり。ど田舎のヘッポコ議員とはそんなものだろう。「任務完了」。この7月 東京からオーケストラを招き Mozart の REQUIEM を演奏し、40数年育てたこのコーラスと決別。

 生徒「せっかく蒔いたのに芽の出るものと出ないものが有る」
 先生「種は普通は芽吹くものだが、中には不良品が有って芽の出ないものや育たないものもたまにはある」
「生徒」へえぇ ! ?