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Jin's Diary&Essey

  #923
一部音楽評論家の不勉強が
Date: 2017/06/16(Fri) 
 ある地方でコンクールの審査員をした時、僕よりずっと名の知れた音楽評論家と同席する事が有った。
「わたしは物心ついたときからモーツァルトが大好きで、ずっと聞き続けて来ました。お小遣いはすべてMozartに注ぎこみ、高校の頃にはなんと2000枚を超すCDが有りました… ! 」

 勉強も出来るほうだったらしく「国立大学の文学部に合格し " 音楽美学 " を専攻しました。」と自慢たらしく言い募り感じ悪かった。そんなに好きなのにMozartのピアノ曲を弾いたり歌ったりするする機会には恵まれなかったらしく、楽譜を読む事もさっぱりだと言う事だった ( こういう人物が音楽コンクールの審査員とはね ! ) あまりMozart 〃と一日中言うものだから、1989年に東京カテドラルで「くにたちカンマーコールと東京カンマーコレーゲン」と共演したぼくのCDを進呈する事を約し、翌日直ぐに送った。1週間程して評論家先生から手紙が来た。" 単なる礼状だろう " と思って読んでみると驚くような内容だった。

 「Lacrimosa(ラクリモーザ・・涙の日)まではモーツァルトの自筆なので一応聞きました。それ以後は弟子のジュスマイヤーの手によるものなので私は聞かない事にしている・・聞いても意味ないから・・・ ! 」ビックリした。モーツァルトに会った事も無い彼、楽譜が読めない、ピアノも弾けない、もちろんこのレクィエムのコーラスを歌った事も無い彼が何を根拠に「弟子のジュスマイヤーの手によるものなので私は聞かない事にしている・・聞いても意味ないから・・・」などと豪語するのか。
日本の音楽評論家にはこのクラスの人物が少なからず居るらしい。楽譜が読めない・弾けない・・歌えない・・・( ビアニストを伴侶とする人が多いのは己の無力さを補う為か … 失敬 ! )

 ところで、来月の9日、四国の高松で僕にとって何10回目かになるMozartのRequiemを演奏する。合唱は40数年指導して来た香川二期会、オーケストラは東京カンマーコレーゲンを依頼した。来週、最後の仕上げに行くが、その時「Lacrimosa」からあとのSüßmair 加筆、補修、完成による後半の出来上がりの素晴らしさについて合唱団に大切な話をしたいと思っている。
それは、Lacrimosa に次ぐDomine Jesu , Hostias , Sanctus , Benedictus , Agnus Dei のいずれもがモーツアルトが書いた、といっても疑うものが無い程の完璧な出来上がり ( まさに " 出藍の誉れ " ) であり,終曲の Lux aeterna に至っては、このレクィエム冒頭をそっくりそのままで ( 詞のみ変えて ) 締めくくっている所など師を凌ぐ完成度ということ。

 優れた聴覚と並外れた読譜力があればこの・・ completed by Xaver Süßmair 版の価値が高い事をきっと知るに違いない。
信用ならない一部音楽評論家のつまらん受け売りなど信じないでのびのびと歌って欲しいという事をここにも述べておきます。