[トップ] [検索] [管理用]
Jin's Diary&Essey

  #906
古い仲間たちと・・・
Date: 2017/03/13(Mon) 
 大学を出たばかりの頃、師匠の命により「千葉県市川市の県立国府台高校の音楽部で " 孤軍奮闘している " 森 祥子先生の手伝いをして来なさい…」ということで早速行ってみた。校門を入って直ぐの校舎の二階からハーモニーが響いていた。

 大体音楽室と云う所は「音が煩い ! 」ということで校舎のはずれのはずれ…に置かれ、3階も4階もフウフウ言いながらやっと辿り着くのが通例なのに " 校門を入って直ぐの校舎の二階 " ということに先ず驚き感心した。

 音楽室に入ると確かに女の先生が一生懸命に指導していらっしゃる。たしか朝日新聞主催のコンクールの課題曲をさらっていたような気がする。「ヒグーラシノー、カソカニー、ナケルヲー…」とかいう面白くも無い歌を聴いたのが初対面だった。この歌が課題曲なら仕方ないので苦労してすこしは流れが美しくなるように手直ししたのが指導第一日の仕事。

 暫く通ううちこのクラブ活動にはいろいろと他に無い特徴が有る事が分かって来た。3年生で部長の柴田 忠君は礼儀正しくて真面目な性格、部員をよく統率し纏めている。2年生の押塚 登貴夫君は指揮もピアノも巧みで、森先生を良く援けている。男女のバランスもまずまずであり、指導する先生がピアニストである為だろう、音程・リズム・ハーモニーなども正確で、これに " 柔らかさ " とでもいう「音楽のフレキシビリティー」が備わったらば有数の高校コーラスになると思えた。

 師匠がこの合唱団の自由曲として選んで邦訳した ハイドンの「天地創造」第2部の終曲 Vollended ist das grosse Werk (邦訳 : みわざは いま成る… 岡本敏明 : 訳 ) を持参して次の週から猛練習が始まった。見る見るうちに素晴らしい音楽が彼等から流れ出し以来何年か県下は当然の事、関東大会でも優秀な成績を上げるようになった。

 その頃の人達が今「国府台混声合唱団」として歌っている。60歳70歳を迎えた人達のいわゆる「大人の」歌声である。ヨーロッパにも何度か訪れて彼の地のコーラスとも交流、ときには彼等を日本に招いたりもしている。とかく,コンクールに入賞するようなグループばかり話題にするメディアだが本当の音楽を通しての人間性発露というものは彼等のような地に足のついた穏やかにしてしっとりとした味わい深いコーラスこそがもっとも注目され、合唱に励む大衆もそこから学ぶような日本に成ってくれれば、と願い祈る気持や大である。

 国府台のコーラスについては、このダイアリーの # 878 , 879 にも述べてあります。