[トップ] [検索] [管理用]
Jin's Diary&Essey

  #902
音楽の倫理力<中>
Date: 2017/02/20(Mon) 
 作曲家・指揮者・教育家・パウル・ヒンデミット Paul Hindemith ( 1895 ~ 1963 ) によれば、
音楽の倫理力とは「音楽が人間に及ぼす力→<良い意味での感化力><反対に人間を堕落させる力>の双方を指す」( 下記に注 )

 世間では ( 特に日本では ) 「音楽と云うものは芸術の一角を大きく占めるもので "上品らしいけれども深く知ろうとすると無闇に難しそうなのでやめて置くとするか・・・」言ってみれば「敬して遠ざける」程度にしか考えない。時の総理が激務の疲れ休めの気晴らしにカラオケを楽しんだ ! と云う話は昔からしょっちゅう聞く…嗚呼。

 また、音楽の文法も歴史も音感も作曲法の初歩ですら碌に弁えていない一部 "音楽評論家" なる人物が「名曲々々」と訳も分からず褒めそやし、そこら中のCDを手当たり次第電波に乗せ、その上よせばいいのに誰か外人評論家が書いたらしいジャケットの解説を知ったかぶって喋る…。どちらもヒンデミットに言わせれば「音楽の倫理力」の為せる技なのである。

 音楽はこころのごはん・・と僕がいい募る訳がここにある。

 いかに美味くて心惹かれ爆食し続けていつのまにか脂が蓄積され、医者に警告されることがあるかと思えば貧乏故に贅沢な食事も出来ず麦飯と少々の粗末なおかずで糊口を凌いでいても一向に成人病にもかからず長生きする人もある。

 力説したい事は「知恵有る人に」正しく選んでもらったこころの食べ物 ( 音楽 ) を愉しく摂取 ( 視聴 ) する」ということこそが優れた芸術と向き合う一般国民 ( 特に学校教育 ) にとって必須なのに何故に駄菓子のような音楽ばかりが跋扈するのだろう、という焦りと慚愧・・・。


   ヒンデミットに関する引用は、彼の著作 
      A Composer's World ー Horisons and Limitations,Harvard University Press, Cambrige 1952
      邦訳:「作曲家の世界」佐藤 浩 訳 音楽の友社 1955 による

   次回はむすび