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Jin's Diary&Essey

  #901
音楽の倫理力<上>
Date: 2017/02/20(Mon) 
 ヒンデミット曰く
       「……一般大衆が滔々(とうとう)たる音楽の洪水の中で、
       麻薬のようにこれに耽って、
       無気力にそれから快楽だけを求めているというのは、
       彼らが音楽の倫理力*に毒されていることにほかならない……」

 大勢の先輩・同僚・友人達の暖かい励ましを頂いて羽田からヨーロッパへと飛び立った1970年、最初に着いた地はデンマークのコペンハーゲンだった。ホテルのフロントにバッグを預けて街へ飛び出す、どこからともなくプーンとデーニッシュのいい香りがする早朝の街、気が付くと地図の端っこ迄歩いていて「ははぁーんヨーロッパの市街地図は路地一本も省かずに描いてあるんだな」と気づいてバックする。暫くすると動物園の前に出たので入る。午前中の早い時間なのに大勢の人〃〃、ベンチは老人達で一杯 (今の日本みたい) 。一人のおばあさんが僕を見て彼方のほうを指差して「ユードー、ユードー」としきりに言うのでそっちのほうに行ってみた。簡易ステージのような所で"柔道"をやっていた。なるほどユードーとは柔道だったのか !

 さっきからいい薫りがしていたご当地名物のパンを一つ買って齧りながらしばし柔道のエキジビジョンを眺めそのあと園内を見て歩く。ふと大きな音で口笛を吹いている自分に気付く。僕には小さい時から口笛吹きながら歩く癖があって親から「品がないし他人にも迷惑が掛かる」とずっと言われていたけれども一向に直らない。

 動物園で吹いていた節は「我が道を行く」というボーイスカウトの歌で、そういえば先週コロムビアでレコーディングの棒を振っていた内の一曲、「この道は遠くて遥かな道…」というやつ、なんでこの歌になったのか考えてバカバカしくなった。

 しょっちゅうこんな事がある。今朝も今朝とて食器を洗いながら" 裕次郎 "のあの節をビィピィやっている自分に気が付いた。口笛の節は職業のクラシックである事など殆ど無く、大抵 " ムード歌謡 " の類いであるから始末が悪い。

  この項続く