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Jin's Diary&Essey

  #828
TEMPOの大切さ
Date: 2015/09/06(Sun) 
 長い間、演奏家を職業としていて最近ようやく確信に至った事が在る。それは、TEMPO のこと。

 Tempo(伊):時、時間、標準時、期間、感覚、時期、時代、年齢、季節、好機、天候、天気…更に Tempo を基に生まれたであろうヨーロッパ諸国の言語、例えば英語を見れば、気性、気質、機嫌あたりから始まって傾向、趨勢など temp. といえばtemperance ; temperate ; temperature ; template ; temporal ; temporary 等々…枚挙に暇が無い。その内のどれが正確にTEMPO を母体にしているか、語学の専門家に教えて頂かなければならないが、少なくとも「時、時間から始まって天候、天気、気性、気質」あたりまでは以前僕の英語の先生であった作山啓介教授(没)から示唆を与えて頂いた記憶が残っている。

 ♩=・・・と作曲家が冒頭に示すようになったのは歌劇が盛んになり始めた1600年代あたりからで,ちょうどその頃ベートーヴェンの友人メルツェルが カッチンカッチン の例の機械を発明した事は夙に知られた事実。Beethoven のお墓もメトロノームの形 !

 例によって前置きが長くなった。

 ♩=・・・ の指示をもし演奏家がうっかり見落としたりすると( 滅多に無い事だが )どんなことになるか。その速さによって生まれる「愉快に踊るように」とか「寂しさに打ちひしがれて」とか「何でも無いさま,気取らず淡々と」などの作品に込められた作曲家の " ねがい " が実現し難くなって来る。

 その結果「愉快」が「陰鬱に」、「堂々と」が「こそこそと」などに変わってしまったらそれこそ大変だ。僕がウッカリして ( 余り深く考えないで ) ♩=・・・ を守らなかったとすると、聴衆は初めて聞くその音楽を作曲家の切なる願いとはかけ離れた所で鑑賞しなければならないのだ。或るコンサートを客席で聞いた時に心に浮かんだ感想を「自戒」を込めてひとこと・・・