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Jin's Diary&Essey

  #824
合唱団「ドン」
Date: 2015/08/12(Wed) 
 毎年8月の今頃は宇都宮市の音楽家・藍原寛治さんのご高配で、いくつかのコーラスのレッスンの機会がある。
今年は2つの高校、それと前にもこの欄で紹介した「男声合唱団ドン」の歌を聴いて若干のアドバイスをして今戻ったところ。
高校は男子校女子校各一つだったが,彼等は10日程あとに本番を控えているようなので、きょうここで感想を書いてしまうと今からの仕上げの邪魔になるといけないので彼等に関する記事は暫く控えておきたいと思う。

 さて、ドン・・・そもそもここの名称の由来を訊ねた事は無いので最初に誰がどういう意味のもとに「ドン」としたのかは知らない。ただ僕は勝手に英語圏、イタリア語圏、スペイン語圏、ポルトガル語圏あたりで使われる《尊称》を意味するDON/DOM なのではないか、と思っている…。

 レッスンは年一度だから、その間の進歩・上達ぶりに毎回驚かされる。どういう感じの「上達ぶり」かというと、
今日の第1曲目が Schubert の Heilich (聖なるかな) だった。譜面づらがシンプルなのでアマチュアが良く取り上げる曲なのだがいざ歌い始めると なんのなんの 一筋縄ではいかない高度な歌唱力を必要としていて、音は下がる、ブレスは続かず、さらに簡単のように見えるドイツ語の発音に手こずる、と云う始末で取り上げた当初に各人がイメージしていた音楽に中々近づかないと云う境地に陥るのが普通。ところが、きょう歌ってもらった所 B♭ dur のピッチは30分歌ってもまったく低くなる事無く,ドイツ語の発音も流石ドイツリートのリサイタルを見事に歌いきる「藍原氏」の指導在っての事と思うが、…ch や 語尾の r もキチンと歌えて今更僕ごときが注文出す事が無いくらいの演奏 ! 決して大袈裟でなく、1年でここ迄上達するとは、と感心した。

 1960年前後に世に出てバブルの時代を見事に作り出して見せそして今退役し、若かりし頃歌った音楽に再び取り組んで「己磨きに精出している」というのが今日本中に増えつつある男声合唱団の本質。女声合唱が年々減り少年少女は昔語りになりそうな今日この頃、男声合唱団は嘗て無かった程の勢いで日本中に にょきにょき と頭をもたげている真っ最中。日本の合唱は戦後70年にしてようやくヨーロッパ並みに「合唱は男声 ! ! 」と云う時代を迎えている。気の毒な事に楽譜出版社は未だその事に気づかずにママコーラスや子ども合唱の楽譜の売れ行きが下がっている事だけを手を拱いて困って見せるだけで世の中の急激な変化の分析と対策に至っていない。( NHKは昨年暮れにいち早く「男声合唱が上げ潮」と話題にしてくれた) 。

 そんな鈍感な様子を横目に見ながら「ドン」のような男声コーラスがしみじみとした重厚なハーモニーを響かせ始めているこの現実、レッスンどころか歓びに満たされながら帰りの新幹線に乗った、と云うご報告第一報はここまで。  おやすみなさい