[トップ] [検索] [管理用]
Jin's Diary&Essey

  #799
2/22,宇都宮で…
Date: 2015/02/24(Tue) 
 市民活動のコーラスやオーケストラに頼まれてレッスンに伺う事は度々ある。
しかしその稽古の様子を同じ会場に居て客観的に眺めて勉強する人が大勢存在する、ということは日本ではごく稀な事である。

 ヨーロッパで、音楽家が何人かの生徒を指導する場所に何十人もの聴講者が同席し微細に亘って研究し、直接稽古を付けてもらったのと殆ど変わらない密度の濃い学習が当たり前になっている。夏休みの頃に大勢の音楽家が各地でこのような公開レッスンを行い世界各地から熱心な音楽家の卵が集まって来てそれは賑やかな事だし羨ましくも思う。

 学生時代に大勢の指揮者が続々と日本にやって来てN響はじめ全国各地のオーケストラを指導した。僕の2年先輩はカラヤン指揮する第九にコーラスで参加し大阪迄歌いに行った、というのが誇りだったし僕自身もE.ヨッフム、W.ロイブナー、はじめ毎年のようにやって来る数多くの指揮者の稽古にはなんとかして潜り込んで勉強したり、かけだしの教師時代には J.フールネやフォン・マタチッチのアシスタントを務める好運にも恵まれ海外に勉強に行った時にはオーケストラピットの片隅のティンパニの陰などに潜り込んでオペラの仕上げを観察したりもした。見学とはかくも有効な勉強の機会なのだ。

 宇都宮市民合唱協会会長の声楽家 藍原寛治さん は何度も訪れたウィーンでレッスン風景を熟知・体験して居られ、それを2/22の講習会で実現しようと試みられたのだろうと拝察する。

 その日レッスンしたのはMozartの「Ave verum」と中田章の「早春賦」だったのだが実に良く勉強してありかなり深い所迄突っ込んだ指導をすることができた。この2曲を指導しておいてくれた二人の指揮者の造詣の深さ故の歌唱に大いに助けられて気持のよいハーモニーが稽古場に流れ,それを横から後ろから眺める見学者達からも鋭い質問が多々発せられ、気の抜けない時間が過ぎて行った。何十年も昔,K.トーマスがやってきて古典コーラスのレッスンをして呉れたときと同じような充実した場面が宇都宮にはあった。