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Jin's Diary&Essey

  #792
一冊だけ注文しにくい日本
Date: 2015/01/05(Mon) 
 沢山の年賀状を頂いた。そのなかに「暮れのラジオ深夜便を聞いたが自分の所もコーラスのメンバーが減って…」というものや、反対に「男声合唱が益々盛んだよ」と報告をしてくれる人達が居て放送のテーマが的外れでなかった事が分かった。コーラスが先細りになって…と仰る方には「曲目の再検討を」と返事を差し上げた。

 ところで、日本では殆ど合唱専門の楽譜を扱う所が無くて銀座辺りの楽器店に行くと楽譜コーナーばかりが人だかりが激しく欲しい本棚に手が届かなくて困り果てる事が良くある。関西に P という合唱楽譜とCDを専門に扱う所が在って京都方面に行ったとき訪ねる事もあったが最近は折角送ってくれるカタログもどちらかと云えばコンクールを意識した品揃えのようになってしまっていて余り役立たなくなっている。曲目を検討しようと「これとこれを1冊づつ」と注文すると「◎部以上でないと」と複数の注文でないと受け付けない「こちらは指揮者なので検討するために」と言ってもガンとして複数の注文でないと受けられない、という。仕方ないので知人でもある社長さんに取り次いでもらいたい旨言うと「本日は居りません! 」とにべもない。段々と疎遠になって最近では昔のように直接海外に注文して送ってもらっている。

 複数注文させるのはコピーされては困るということらしいけれど、1960年頃にこんなことがあった事を紹介したい。

 東京郊外のクリストロア修道院に児童福祉施設 があって100人以上のこどもが居てガールスカウトが発足しその歌を教えに通っていた。何年かして大分上達したので本格的な音楽をやろうということになりシスターとも相談して「戴冠ミサ」をやることになった。楽譜無しでラテン語のパートを一節ずつ歌って教えるとあっと言う間にに全曲を覚えてしまった。その頃指揮していた群馬交響楽団をチャーターし、杉並公会堂でコンサートを開いた。耳から覚えたこども達は当然の如く真っすぐ前を見て堂々とMozart を歌い上げた。中には失礼な質問をするこどもが居て男声を受け持ってくれた東海大学のグリークラブに向かって「指揮見ないで楽譜ばかり見ている」などと言いハラハラさせられた。

 外国の少年合唱団の稽古を見たことがあるが、楽譜も無しに指導者が一節ずつ歌って教え、いつの間にかブルックナーが仕上がっていく、日本では必ず一人一冊ずつ持たせて読譜させて歌わせそのくせ「指揮を見なさい ! 」と喧しく言うのを見るたびに相変わらず楽譜至上主義のこの国に大きな疑問を覚える。オーケストラでも日本では楽譜上に記入された楽語を論議し、海外では指揮者が歌ってみせながらニュアンスを探って行く、僕の周りにもやたらに 速い,遅い,長い,短い… ばかり文句言う指揮者が今でも居る。

 「楽譜が音楽になる」のではなく「音楽がやがて楽譜に書き表される」ことを年頭にあたってひとこと提言・・・