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Jin's Diary&Essey

  #788
スローモーションの如く
Date: 2014/12/23(Tue) 
 いきなりのお訊ねですが,自動車を運転していて事故ったことがありますか ? 私は一度だけあります。

 阿蘇山のハイウェイを登っていた時に遭いました。だらだらの上り坂、道の両側は草原で見通しは抜群、気持よく走っていた時突然のにわか雨、ワイパーも利かない程でした。ずっと先の方からこちらに向かって坂を下りてくる小型のダンプカーが見えました。こんな時、僕の運転は比較的慎重でギリギリ左に寄りスピードも落としてやり過ごそうとしていました。ダンプが僕の車に気づくのが遅かったのか、それとも雨の道にハンドルを取られたのか100メートル程手前で突然左右に首を振り迫って来ました。ほとんど止まりかけていた僕の車に向かって来ます、そしてガーン ! ! 。ダンプは横転して草原に落ちて行きました。そのぶつかる瞬間の様子が今日の話のテーマです。映画のスローモーションのようにゆっくりとダンプが迫って来て、ぶつかる瞬間も「ガーン ! ! 」ではなく「グワァ~~~~ン」ととても遅く感じました。

 話は変わります。あの王選手(ワンちゃん)がホームランを打つ時「球が止まって見える」と云うのを聞いたことがあります。人間は集中力が極限迄高まると " 時間の経過 " が変わる…(遅くなる)らしいのです(専門家に確かめた訳ではないのですが)。

 ようやく今日の本題。

 60歳を過ぎた頃から僕の中で時間の経過が伸縮するのを感じ始めました。それは「本番で指揮する時」に限ってなのですが、時間がとても遅く感じるようになりました。そうするとどういうことが起きるかと云うと、演奏している音楽のテンポに関係なくゆっくりと時間が進んで行くので「いま鳴っている音、この先展開する音楽の終結迄の望ましい姿」がまるでスローモーション映画のように見え・聴こえるのです。駆け出しの頃のように楽譜に追いかけられ、振り回されるような事はすっかり影を潜め、曲が始まったときから最後のコード迄「まるで何10回も登った山道に臨むように」ずっと先迄心に描くことが出来ます。この話を友人にすると「何度も演奏した音楽だから慣れているのさ」と言いますがそれとは全く異なります。

 初めての曲でも何度も演奏して諳んじている音楽と全く同じように「スローモーション映画のように」「何10回も登った山道に臨むように」ゆったりと終り迄を見通して演奏が進みます。自動車事故や王選手のホームランと同じような現象がようやく僕にも与えられたのかと思うとこれから先の演奏が楽しみでならないのです。

 手前味噌、自慢話みたいで恐縮・・・