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Jin's Diary&Essey

  #781
その2 通訳を雇うとき
Date: 2014/11/16(Sun) 
 前回述べたようなやり方で「会話術の習得」を旨としている僕が「通訳」の話はおかしいじゃぁないかと仰らず聞いて下さい。
 外遊し始めた1970年頃は、まだ外国に渡る人はさほど多く無く「向こうに行ったらついでにこれこれを…」などと色々な用事を頼まれたものだ。
  「来年来日予定のバリトン歌手のマネージャー××氏と会って来てくれ」
  「新しく開発された××という楽器の事を開発者に会って詳細を調べて欲しい」
  「さ来年の演奏旅行で使う××ホールに行って客席から響きなどを調べついでに支配人に会って来て欲しい」
 これらの大事な用件は例の岡本式会話程度では危なっかしい、そこで通訳を雇わなければならなくなる。

   ここからが本題

 はじめ当然の事ながら日本人を探した。本職は目玉が飛び出す程高額なのでその次くらいの語学力の人を決めるのに結構苦労する。ある時大企業の駐在員で在住10年という人を紹介されて一緒に行ってもらった。通訳を介して会話するのはもどかしさがあってあまり好まないけれど仕方ない、相手と話しを進めるうち徐々にいらいらが嵩じて来た。理由は僕の真意がちゃんと相手に伝わっているのか…という疑念が膨らんで来る事、"こう言って欲しいのに"という微妙なニュアンスが通訳氏の言葉からは発せられていない、というじれったさ、お分かり頂けるだろうか ? それならば自分で言えばいいのに…と思われるかも知れないけれどその語学力を持ち合わせていないから通訳を頼んでいるのに・・・

 そこで、次の機会には180度考えを変えて現地の人で日本語が相当出来る人を見つけて依頼した。前年ウィーンに行った時やけに日本語の達者なウィーンっ子に会った事を思い出し彼に「通訳して呉れるか ? 」と日本語で訊ねるとニコニコして「やらせて下さい」と言う。彼と一緒に或るホールを訪ね支配人と会った。音響効果や照明の事、楽屋の使い勝手などかなり細かい話になったが通訳氏はこちらの質問を相手に投げかける前に僕に対していろいろと細かい事を聞き返してくる、いくら日本語が上手だからと言って僕の言葉を100%理解するのは外国人としては難しい面もあるのだろう。彼は僕の言いたい事を完全に把握した上で比較的あっさりとした様子で相手に話しかけ、相手も同国人と言う気安さもあってかすらすらと会話する。通訳氏はそれを苦労しながらなんとか日本語で僕に伝え何度も「分かったか ? 他に訊ねる事はあるか? 」と聞いてくる。日本人に通訳してもらうのとは全く違う心のキャッチボールがそこには生まれる。

 この明解な違いがお分かり頂けるだろうか ? 通訳は現地の人間を捜すのがベスト、いくら堪能であっても日本人では物足りない事が・・・