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Jin's Diary&Essey

  #772
編曲の続き
Date: 2014/10/17(Fri) 
いまここに最近とても気に入って聞いているイギリスのある合唱団のCDがある。
イギリスの民謡に始まりもっとずっと古い時代のマドリガルもあり、なんと黒人霊歌も2曲入っている。
混声合唱団なのだが変化に富んだ編曲がなされているのでついつい聴き入ってしまう。どのような変化、工夫なのかと云う事を少し詳しくここで紹介しておこうと思う。

例えば黒人霊歌の Steal A Way だとすると、最初の4小節は先ず男声だけで極々弱く歌い始める、続く2小節で女声も加わって少しだけ音量も増えるが続く2小節は再び男声のみで弱声となる。ここまでが2度同じように繰り返される。
やがてMy Lord calls me,のくだりになったとき、突然男女全員のユニゾンでフォルテッシモで少し早めに6小節歌い上げ、つづく2小節は冒頭と同じように男声のみでビアニッシモのハーモニーが静かに流れる・・・というように 例えはあまり適当でないけれども、( 賛美歌のような退屈な ) くだりなぞ存在しない。

さらにこのコーラスには抜きん出た美声の男女が何人か居て2番、3番と先に進む時にほんの2小節程をピリッとソロする。それがまたスパイスとなって聞く者を全然飽きさせる事がない。編曲しているのは曲によってこのコーラスの指揮者であったりメンバーの中の誰かであったりあるいは外部の編曲者の手になるものであったりする。

ここのところが日本の多くのコーラスに備えて頂きたい肝心な所。誰かがどこかのコーラスのために頼まれて作り、その上そのグループがたまたまコンクーにその曲を歌って入賞し、そのために人に知られるようになり従って出版もされているので手に入った・・・へたな例えで恐縮だが、他人のオーダーメイドの服を無理して袖を通し、あちこち寸法も合わずデザインも不似合いなものを苦労して着こなそうとする様にも似てどうしたって自分のグループ向きではないということに気づかないで四苦八苦している、この不幸せ ! 今一度冷静に Steal A Way を聞いてみたまえ。自分達のために編曲する、ということのいかに大切かが分かるだろう。

そのためにはを2つの方法しか無い。ひとつは指揮者かメンバーの誰かが編曲の技術を磨く事。
もうひとつは ( おそらく無理な願望だが ) 座付きの作曲家を抱えて自分達だけのためにオーダーメイドの音楽作らせる事。

管弦楽と吹奏楽とそして合唱の歴史を繙いた時 ( 白水社 から何冊か役立つ本が出ていると思う ) そのことを悟る事でしょう。
          
編曲の話題はひとまずここまで。