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Jin's Diary&Essey

  #750
立憲君主制と共和制 ! !
Date: 2014/07/25(Fri) 
平成元年に亡くなった作曲家の 芥川也寸志 とは彼の晩年に 團伊玖麿 からの紹介で「ある仕事」を手伝わせてもらったことがある。その「ある仕事」についてはいずれこの欄に書くつもりで居る。

也寸志は、父龍之介のもとに生まれた三人の男子の三番目で(長男の比呂志は俳優、次男の多加志は戦死)、團伊玖麿、黛敏郎と「三人の会」を結成し積極的な作曲活動の一方、筆のほうも中々のもので「私の音楽談義」はじめ読む者を引きつける名著が少なくない。その中に1971年に岩波から出版された「音楽の基礎(新書E-57)」がある。

終り近くに「対位法」についての章があり、そこでこんなことを述べている。

  「・・・多声音楽というものは、どの声部にも同等の権利があり、しかもその総体が均衡の取れたまとまりをみせなければならないが、和声音楽は、楽曲全体を支える調性を支配する低音(バス)の絶対的な権威の上に、旋律という第二の権威者がおり、他の声部はそれらにつきしたがい、けっして権利を主張することはない。いわば和声音楽というものは、低音(バス)という君主と、旋律という王妃の君臨する立憲君主制体であるのに対して、多声音楽は共和制体にたとえられよう・・・(同著180ぺーじから)」

  立憲君主制体、共和制体、とは言い得て妙、、龍之介の血を引くものでなければこんな巧い表現は無かったに違いない。

あした開催する教育音楽学会の15回目のワークショップでは、いつものように「音感」と「指揮法」と「ポリフォニー」の勉強を進めるが、冒頭の「基調講演」で上記の芥川の名文を引用して話しするつもりでいる。


(文中 敬称略)