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Jin's Diary&Essey

  #684
目先の栄光
Date: 2013/04/04(Thu) 
センバツが終った。ひさしぶりに後味の悪いスポーツを観た。結果に対する論議はこれからしばらく続く事だろうからそちらに譲る事にする。分かりきっていた事なのに観ないふりしてチヤホヤしていたマスメディアがどんなふうに言い逃れしてSAIBIの監督一人を悪者に仕立て上げ、報道したものには何の責任も無い事にする過程は観なくても分かる。

野球は専門でないからあまり口出さないようにするけれどもこのケースと似た事が音楽でも起こっているのでそちらは放っておく事はできない。

最近TVで流行っているのが吹奏楽やコーラスのクラブ活動の高校生達が「日本一」の栄冠 ? を手にする迄の苛酷で惨めな様子のドキュメントを流す事。なぜかその苛酷で惨めな様子が視聴率を呼ぶらしく何処のチャンネルも競って美談仕立てに作っては流す。この業界、とっくの昔に文化だの報道からは遠くのほうに行ってしまって、いまや自分たちのサバイバルに必死、売り上げアップの為だったら詰まらんドラマや2流お笑い集めて愚にもつかないバラエティとクイズばかりだから、カメラを学校に持ち込んで作る「コンクール悲劇物語」は良心的な部分…と勘違いしているのだろう。

指揮棒振る学校の先生も普段の授業にそのエネルギーを使ったらよかりそうなものなのに、始業前の朝練、昼休み、放課後、土日、夏休み・・・と、叱咤激励をとっくに通り越して罵詈雑言、体罰寸前の激しいトレーニングが続く ( もしかすると先生にも校長や保護者会、OB等の優勝至上命令が下っているかもね ) 。
その結果、仮に地区大会を撃破 !? して全国大会に出場したところでそのことと生徒に「音楽の歓び」を伝えるのとは乖離も甚だしい。大会会場で順位発表を聞いた生徒が万歳したり涙するのを目にすると音楽の感激とはかけ離れたまるでスポーツ大会の決勝戦を観ているような空しさにとらわれる。もっとも実際には見聞きしていないのでテレビだから極端なのかも知れない。

だがしかし、僕が選考委員をしている某民放主催の「こども音楽コンクール」全国大会は地方で優秀な演奏をしたときのテープを赤坂に集めて全国から集まった審査員が「奨励賞」を選出する。夏休みに地方で ( 学校の近くで ) 第一次の選考があり、秋になると全国7ブロックで第二次の選考、そして前述のテープ審査となる。がつがつした優勝争いとは無縁の理想的な音楽享受の表れとして品格すら感じられる。半世紀以上前にこの流れを構築した関係者の見識に改めて敬意を表する所だ。

ところで、冒頭のセンバツ決勝戦、始まって直に観る気を失ってBSのヒッチコックの映画に移った。しかしこちらも憂鬱な内容で4月3日の午後は散々な目にあったのである。